ご挨拶Welcome

ご挨拶

2024年は能登半島地震という災害で幕が開ける年になってしまい、コロナの再度の流行、世界各地での戦争により人々の心に一抹の不安が広がっているように思われます。

物価高とコロナ禍はいわゆる社会的弱者へのしわよせが大きく、とくに精神障害を持つ人や、もともと生きづらさをかかえていた人たちの孤立や疎外が問題となっています。こうした状況にあるからこそ、支援の力を強めることが必要になっています。

SST普及協会は、さまざまな生きづらさをかかえる人たちが、希望を見いだし、毎日の暮らしの中で周囲の協力を得ながら、自分ができることを広げ、自己効力感を高めていくための社会生活スキルの学習や支援方法を提供することを目指し、1995年2月に発足しました。その後、事業の拡大と会員増にともない、2014年1月初めから一般社団法人になりました。2025年には協会が発足して30年、一般社団法人格取得後10年となります。協会では2025年を特別な年として迎えるべく、30周年記念事業実行委員会を作って一連の記念事業を進めているところです。そのスローガンは「人とつながるソーシャルスキル-SSTで温かい社会を創ろう!」です。そして2024年11月23‐24日に帝京平成大学にてプレ大会を、2025年7月5‐6日には同じく帝京平成大学にて30周年記念行事本大会を開催する予定としております。

具体的には、上に述べましたように30周年記念事業を「人とつながるソーシャルスキル-SSTで温かい社会を創ろう!」を合言葉として以下のような種々の事業を展開します。
①本協会前会長の故西園昌久先生の「SSTと精神療法」(金剛出版)の2023年(令和5年)出版
②ITの進歩を背景に3D-VR(三次元ヴァーチャル・リアリティ)を活用したSST-VR(FACEDUO、大塚製薬)の監修
③SSTを全国の施設にお届けするSSTアンバサダー事業
④2025年(令和7年)の30周年を前にした30周年記念プレ大会開催(2024年11月)
⑤2025年(令和7年)7月の30周年記念本大会開催
⑥その記念行事に海外の高名なSST研究者を複数招聘した講演会の開催
⑦全ての30周年記念事業が終了した後のオンラインジャーナル「心理社会実践研究」(仮称)の発刊

本協会は、「生きづらさや困難をかかえる人を支えること」、そのため「全国どこでも必要な人にSSTを届け、その人が生きる力を育めるよう、支援を提供できること」を基本理念として発展してまいりました。今後も引き続きこの基本理念に沿い、本協会会員や支援者の皆様のご協力を頂きながら、当事者やご家族との連携を強め、SSTの一層の発展に貢献してまいりたいと考えております。
SSTのカバーする領域は広いですが、精神保健医療については病院から地域への動きが加速され、地域で自立して生活する力を強めることが期待されています。また、就労、児童の育ち、教育、矯正・保護、一般市民の分野でも新しい動きが展開されており、その中でSSTを求めるニーズが広がっています。さまざまな分野のニーズに対応してSSTの普及を図るとともに、パーソナル・リカバリーを志向し、希望志向と共同創造を支える新しいSST「co-productive and decision sharing SST(co-SST)」の開発・普及に努めてゆきたいと考えます。co-SSTでは共同意思決定(SDM)、社会認知への介入、主体的学習支援を特に強調しています。

これらの事業を通して、SSTが我が国の津々浦々まで浸透して、生きづらさを抱える人たちの抱える困難が軽減し、周囲の人々と関わりながら主体的に生きる力が強まることを目指します。このようにしてSSTで温かい社会を創ってまいりたいと思いますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

              一般社団法人SST普及協会
会長  福島県立医科大学会津医療センター 精神医学講座  丹羽 真一
副会長 帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科       安西 信雄
副会長 医療法人社団欣助会 吉祥寺病院 (非常勤)      河岸 光子
副会長 神経科土田病院・ひだクリニックお台場       池淵 恵美